法律関係

お部屋を退去する時の原状回復はどこまでやればいいの?

前回のブログでは「今さら聞けない「敷金」「礼金」とは何なの? 」という内容でお伝えさえて頂きました。今回お伝えする現状回復義務とは敷金の清算ととても深い関係があります。ですので、こちらでお伝えする内容と合わせて敷金・礼金についての書いたブログもチェックしておいて下さい。

今さら聞けない「敷金」「礼金」とは何なの?家を借りる時に物件を選んでいると敷金・礼金1ケ月と書いてありますよね。そもそも、敷金・礼金って何の為のお金?礼金とはなのかよく解っていな...

今回も加藤先生動画を参考に情報をまとめさせていただきました。

 

原状回復義務とは何か

お部屋を借りる時は敷金を大家さんに預けるというお話をさせて頂きました。その敷金は滞納家賃があった場合や入居者さんがお部屋を傷つけ修繕箇所がある時に敷金からそれらの金額を差し引いてお金が戻ってきます。

ただ、敷金が戻ってくるポイントになるのが原状回復になります。

原状回復とはお部屋を退去(出ていく時)に借主がお部屋の一部を傷(キズ)をつけた時、借りる前の状態に戻して返してくださいということです。

この時に大きな問題に発展するのがどこまで傷を借主は修繕しないといけないのか?これを大家さん借主共に明確にしておく必要があります。

原状回復義務におけるとはどういうものか?

ではどんな傷が借主が負担するべきなのかを知っておきましょう。

<借主が負担しない場合>
①通常の生活による磨耗
②経年劣化

これらは家主さんの負担になりますので借主が負担することはありません。

ただ、気をつけておかないといけない部分はあります。通常使用であったとしてもお部屋を借りるという事は「人の物を借りている」ことになります。いずれ大家さんに建物を返すことになるので借主は大切にお部屋を使わないといけません。

これを「善管注意義務」と言い建物に対して入居者は善良な管理者として注意しなければいけないんです。

なので、

<借主が負担する場合>
①入居者がわざとつけた傷
②誤ってつけた傷
通常の使用を超えた使用によりできた傷

これらの場合は借主(入居者)は負担をしなければいけません。

ただ、ここで理解しておく必要があるのが「通常の使用」ということです。何が通常の使用なのか理解しておく必要があります。

 

「通常の使用」の判断基準とは?

自分の家を建てた、購入した場合に「その家をどう扱うのか?」これを基準に考えてください。

例えば)
・キャスター付きの椅子で床に傷つけるのか?
・壁に釘を打ち付けるのか?
・窓ガラスが結露して濡れていた場合、濡れた状態で放置するか?

こう考えた時に多くの方がしないと思います。ここで善管注意義務の注意点としては他人の物を借りている方が責任が重いということになります。

善管注意義務(責任重い)>自分の物の注意義務(責任軽い)

とはいってもこの傷はどちらが修理すべきなのか?退去する時に必ず迷うポイントにもなるのでこちらについてお伝えさせて頂きます。

「通常の使用」の判断基準とは?

1.修繕費を負担するのは家主か貸主どちらなのか?

通常の使い方で出来た傷、経年劣化によるもの

  • 家具の設置によるクッションフロアの凹み
  • 日光によりフローリングや畳の偏食
  • 冷蔵裏のクロスの電気ヤケ
  • 画びょう、エアコンの痕

これらは家賃に含まれているので家主さんが負担する形になります

  • 故意 子供の落書き
  • 過失 引越し作業による傷
  • 通常の使い方を超える使用によりできた傷
    ・タバコによっての変色・臭い
    ・釘穴によって下地補修が必要な場合
    ・キャスター付きの椅子でフローリングに出来た傷
    ・無断でのペットを飼い、柱の破損、臭いの付着
  • 普通の住まい方で発生するものでも、その後手入れが悪く、損耗等が発生・拡大したもの
    ・雨漏りやエアコンから発生した水漏れ放置による腐食

    ・結露や液体をこぼした後、手入れ不足等でついたシミやカビ
    ・使用後の手入れが悪く、壁、コンロ、換気扇にススや油、浴室や洗面に水垢、カビ
    ・冷蔵庫からの出たサビを放置し、床にサビ汚れが移った

このような場合は借主が費用を払う可能性があります。

特に通常使用であっても手入れが酷い場合は借主が補修費用を払うことになるので、結露が酷い時には水滴を拭いて大家さんに対策をお願いしておくことにしておきましょう。

また、入居期間が長ければ、通常損耗とされる可能性もあります。なので、修理費用を貸主と入居者とで負担するという解決もあります。必ずしも「貸主5:借主5」という訳ではなく「貸主3:借主7」といった割合はその時々になります。

2.どこまで修繕する必要があるのか?

原状回復とは傷がついた部分の補修をする必要になります。出来る限り傷のついた部分に限定されます。最低補修できる施工単価で計算されることが原則となります。

基本「1㎡単位」(1m×1m)
これが最低施工単位とされています。

各補修箇所の単位

クロス㎡単位が原則
(契約書で面単位と書いていれば面でもOK)
1枚単位
フローリング最低㎡単位
(傷が部屋複数の時には部屋全体)
カーペット
クッションフロアー
1部屋単位
タバコ部屋全体

特にタバコを吸われる方は気をつけてくださいね。どんなに丁寧に使っていても臭いがしみつくと厄介です。部屋全体のクロス変えると補修費用も掛かるので敷金が戻ってこなくなります。

3.時間の経過による価値の低下

建物や設備の価値は年々低下します。また、入居1年の方と10年の場合では同じ負担をさせることは不公平になります。ですので、経過年数、入居年数によって負担の割合が変わってきます。

主な設備の耐用年数

クロス、カーペット、クッションフロア6年
流し台5年
エアコン、インターフォン6年
便器、洗面台15年
 ユニットバス、浴槽、下駄箱
(建物と一体になっているもの) 
建物の耐用年数

クロスは6年間で1円になります。

※ただし、6年経って1円だからと言ってクロスに落書きをしていいわけではありません。退去された後にも次の入居者がいるので故意、過失により建物を傷つけた場合は工事費や人件費は入居者が負担する可能性もあります。

耐用年数の注意点

・襖、畳表の交換 経年による割引は不要です
・フローリングの部分補修工事 経過年数を考慮しない
→部分補修をしたからと言ってフローリング全体の価値が高まるわけではないから。

 

原状回復義務のまとめ

1.修繕費を負担するのは家主か貸主どちらなのか?
→通常の使用を超える損耗

2.どこまで修繕する必要があるのか?
→クロスは㎡単価

3.時間の経過による価値の低下
→ クロスは6年で1円

 

ABOUT ME
フジ君
2018年6月に4代目の代表に就任させて頂き、今年て創業74年目を迎える会社を経営させて頂いております。約30年前から大家業は営んでおり、広島市内に2棟、約50世帯の物件を管理しております。お客様に「安心、安全な空間」を提供するを理念に経営をさせて頂いてます。