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原状回復ガイドラインの負担割合(具体的な計算方法)を解説

原状回復の負担割合とは

原状回復とは、入居中に故意・過失に問わず「傷、壊した部分」や通常以上の使い方で「汚した部分」を借主(入居者)が入居前の状態に戻すことをいいます。

この原状回復には一定のルールがあり、「補修する項目」と「居住年数」によって負担割合が決まっているんです。

このルールを知っておくだけで請求された退去費用が適正なのか!?これを知ることができます。

退去費用で悩んでいる方、これから退去予定の方は最後までごらんください。

対応年数と減価償却という考え方

負担割合を計算する時に必要な考えが「対応年数」と「減価償却」になります。

対応年数とは

退去費用でよく請求される項目の中に「クロスやクッションフロア―」がありますよね。

これらには部屋の中で使われている消耗品や設備には使用できる期間が定めらえています。

この期間のことを「耐用年数」と言います。

「クロス、畳、キッチン、ガスコンロ、給湯器」それぞれ対応年数があるということです。

 

減価償却とは

一般的に物の価値は時間の経過とともに減っていきますよね。

この価値が減っていくことを「減価償却」と言います。

入居した時に新品のクロスが貼っていても、退去する時には新品の価値はありません。

この減価償却を知っているだけで、退去費用に対して交渉できる可能性が上がります。

 

負担割合の計算は「対応年数」「減価償却」「入居期間」によって決まります。

 

各部分の対応年数について

お部屋の中にある各部分には対応年数が決まっています。

 対応年数
(減価償却)
クロス(壁紙)6年
クッションフロア―6年
カーペット6年
経年劣化考慮しない
経年劣化考慮しない
障子経年劣化考慮しない
フローリング経年劣化考慮しない
建具経年劣化考慮しない
経年劣化考慮しない
流し台5年
ガスレンジ6年
令暖房機器
(エアコンなど)
6年
たんす・戸棚8年
便器・洗面台
(給排水設備)
15年 
鍵の紛失経年劣化考慮しない

「対応年数6年」ということは72カ月目の時点でその物の価値が1円になるということです。

6年間住んでいたにも関わらず退去費用が新品価格での請求だった場合。

この時は減価償却を考慮した金額を払えばいいだけです。

畳、襖、障子などの「経年劣化を考慮しない」部分は基本的に補修費用は全額払わないといけません。

例)襖2枚のうち1枚を破ってしまった。

この時に2枚分の請求があっても1枚分の襖代を払えばいいだけです。

●フローリングを傷をつけて請求された場合

1箇所しか傷をつけていないのに部屋全体のフローリングを請求されることがあります。

この場合、賃貸人が負担すべき部分は自分が傷をつけた部分になります。

その傷が1m×1mに収まっている場合、賃貸人が負担すべき大きさは1㎡です。

 

負担部分の計算方法

減価償却があるのに新品価格を請求されたとします。

この時の計算方法

(請求金額÷対応年数)×入居期間=減価償却費
請求金額-減価償却費=負担金額

例)入居期間5年(60カ月)クロス代6万円(新品価格)請求

(60,000円÷72カ月)×60カ月=約50,000円

請求金額60,000円-50,000円=10,000円

6万円請求されても1万円だけ払えばいいのです。

退去費用を請求された時にその金額が減価償却費されているか?

この部分を必ず確認をしてください。

 

負担割合で間違いやすいポイント!

契約書に減価償却は考えないものとする記載がある場合

契約書の特約に「原状回復費用は減価償却は考えないものとする」と書いてある場合。

この契約は有効になりますが一定の条件を満たせは無効を主張することが出来ます。

過去の裁判事例では

契約の時に借主が退去時に負担すべき金額が明示されていて、借主は、その金額を認識したうえで契約を締結している時は有効。

言い方を変えると契約書に金額の記載がなければ無効を主張できるということになります。

7年住んでいたのに破ったクロス代を請求された

過去の裁判事例では対応年数を経過した場合であっても借主が傷をつけた物に関しては負担する判決もあります。

クロスは減価償却で6年で1円になりますが、キレイに使えば6年以上使うことも出来ます。

裁判所の判決としてはクロス代金の請求は出来ないが貼替に必要な職人さんの作業台は破損した賃借人が払うべきだという判決がでています。

対応年数を経過した場合であっても破損・汚損した場合は払う可能性がありますので、キレイに使うようにしてください。

 

まとめ

基本的には賃借人、賃貸人双方の話し合いで解決することになります。

しかしながら、納得いかない場合もあると思います。

この時は最終的に裁判を起こすことになりますが金額の証明をするのは「賃貸人」です。

ですので、賃貸人が強気にきても裁判起こしてもらってOKですというスタンスでいましょう。

 

ABOUT ME
フジ君
2018年6月に4代目の代表に就任させて頂き、今年て創業74年目を迎える会社を経営させて頂いております。約30年前から大家業は営んでおり、広島市内に2棟、約50世帯の物件を管理しております。お客様に「安心、安全な空間」を提供するを理念に経営をさせて頂いてます。